ミナミアカヒゲ 又は リング Ling
最大 Max
size: 全長 200cm TL
生息層 Depth range: 22m-1000m
●形態・特徴: 背面はオレンジピンクと茶色に不規則な模様がある、腹部は白色。平均サイズは全長80cm〜120cm、5kg〜15kg。最大で30年200cm,25kgになる。眼の中央下より前にある2つに分かれた1対の突起物は腹鰭であり髭ではない。鋭い歯があり他の魚を捕食する。産卵は8月〜10月で大きくなるまでの成長は遅い。
●生息環境: 水深200m〜700mに分布し主に300m〜500mに生息。
●釣り: ニュージーランド全域に分布するが主に南島周辺に生息する。歯が鋭いので24kgのメインラインに100kgのハリスが一般的、ファイトはあまりしない。北島に規制はないが、南島では1日の持ち帰り数が「Combined finfish bag: 30」と決まっているので注意が必要だ。規定は毎年見直され地域によっても異なるので釣りに行く前に調べておくことをお勧めする。
●食味: タラに近縁のアシロ科の魚で白身に適度な脂が乗り日本では高級魚として扱われている。そのグロテスクな見た目とは違い、きめの細かい癖の無い身はフライ、ムニエル、鍋物、西京焼き、スモークと非常に美味しくいただける。小型のものはカマボコの材料として練り物に加工され日本に輸出されている。リングの利用価値は非常に高い、日本では手に入りにくい魚なので機会があれば食べてもらいたい魚だ。
●その他: リングは日本でキングと呼ばれ流通している事が多い、キングはキングクリップKingklipの略で元々は南アフリカにおける古いオランダ語の名称Koningklipvisch(King
of Rockfish)に由来する。かつては多くの日本漁船が南アフリカ沖でキングクリップを漁獲し日本市場でアマダイの名前で流通していた。しかし1977年に排他的経済水域(EEZ)の200海里が制定されると日本漁船は南アフリカ海域から締め出されキングクリップは手に入りにくくなった。キングクリップの学名はGenypterus
capensis。アシロ科のGenypterus属でこの属は現在6種類が知られている。ニュージーランドに生息するのはこの属のGenypterus
blacodesでキングクリップの近縁種であるが同種ではない。 日本近海では近い魚にヨロイイタチウオHoplobrotula amataがいる。
阿部宗明博士により1986年にミナミアカヒゲと和名提唱される。1990年海洋資源開発センター発行の「ニュージーランド海域の水族」にはリングと記載される。