ボラ Grey mullet
最大 Max size: 全長 60cm TL
生息層 Depth range: 0m-50m

●形態・特徴: 体系は円筒形で頭部から吻にかけては平たい。濃い銀灰色の背方に青緑がかった光沢がありかすかな縦縞模様がある、腹部は銀白色。鱗は大きく、目とその周辺は脂瞼(しけん)と呼ばれるコンタクトレンズ状の器官で覆われる。平均サイズは30cm-40cmで最大60cmになるがニュージーランド水域以外では80cm以上に成長することが知られている。ボラ科の魚は第1背鰭の前3棘が基部で接することが特徴。

●生息環境: ニュージーランド全域に生息し特に温暖な地域を好む。北島北部に多く生息し波などがさえぎられた湾やヨットハーバー、汽水域のラグーンで良く見られる。ニュージーランド水域でのライフサイクルについてはまだよく知られていない。

●釣り: 通常はオークランドより北の地域の汽水域や湾での定置網によって捕獲される。餌をつけた釣り針にかかることは稀で釣りの対象魚としては人気が無い。

●食味: 汽水域で獲れたものは泥臭さがあるので刺身の薄作りにし氷水で一度よく洗う、そして水気を十分に取り、酢味噌、生姜醤油などで食べる「アライ」は美味い。また燻製などにしても良いが基本的には臭みがあるので、あまり人気の無い魚。一方、卵巣の塩漬けを干した「カラスミ」は古くから珍味とされ人気が高い。ボラは海底の餌を泥ごと呑み込むため胃壁が厚くなっていて、この胃の幽門(出口)は形も大きさもソロバン玉に似ている。1匹に1つしかないこの部分を「ボラのヘソ」とか「ソロバン」と呼び珍味中の珍味とされる。ソロバンは鶏でいう砂肝のような食感で串に刺し塩焼きにすると美味。ニュージーランド人にも卵巣の燻製は人気が高い。

●その他: 1年を通して鮮魚市場に並ぶ大衆魚。値段も安く鮮度も良い物が手に入るため料理方法を駆使すれば良い食材になる。
ボラは成長と共に名前がかわる出世魚で、東京辺りではハク→オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラとなり、老成魚はトドと呼ばれる。



8th June 2013 Kelly Tarlton's Antarctic Encounter Underwater World(Aquarium), Auckland 幼魚 Juvenile

23rd February 2010 Pine Harbour, 15km east from Auckland City 全長29cmTL

30th November 2007 Fish Mart, Auckland 全長46cmTL