スミツキイシガキフグ Porcupine
fish
最大 Max
size: 全長 55cm TL
生息層 Depth range: 10m-200m
●形態・特徴: 背部は灰色がかった茶色にいくつかの黒と黄色い斑紋がみられる、腹部は白色。通常は背鰭と臀鰭で泳ぐが尾鰭をつかって速く泳ぐ事も可能。体には不動性の棘におおわれる。危険を感じるとエラから海水を取り込み大きく丸く膨らむ。歯は癒合し上下に1枚ずつ2枚の歯板になりとても強い、貝や蟹、ウニ等を砕いて食べる事ができる。産卵は夏。平均で30cm〜40cm、最大55cmにまで育つ。
●生息環境: オーストラリアの南部沖合とニュージーランドに生息する。南島より北島の方がより多く生息する。砂泥底や沖合では大きな群れをつくるが、沿岸部では岩礁域で生息する。岩礁帯で数多く見られる事は無いが、しばしば同じ場所に留まり数週間に渡って観測される事ある。
●釣り: 水深10m〜20mの海藻の多い場所で釣りをしていると釣れる事があるが通常そういった場所は根掛かりが多いので避ける傾向にあり釣りで見ることは少ない。ビーチから釣れる事もある。
●食味: 本種は無毒といわれている。棘は非常に硬く忍者が使う撒きビシのような形をしており皮に深く入り込んでいる、皮も厚く硬いため捌くのには包丁よりも料理バサミの方が使い勝手が良い。眼と口のまわりから切り込みを入れ、皮と身を切り離すようにハサミを入れていく。捌くと身の少なさに驚くが、頭部にも多くの身がついている。刺身は薄切りにする、シコシコとした歯ごたえで旨い。唐揚げやフライでも美味しく食べられる。沖縄ではハリセンボン類をアバサーと呼び身や肝臓をブツ切りにして味噌で炊いたアバサー汁が有名で高価な食材として扱われている。また手間はかかるが皮を湯引きし棘を取り除けば皮も美味しくいただける。
沖縄水域の ハリセンボン類の卵巣については無毒であるという研究報告があるが、その調査データは検査数が50匹程度で毒性や食用の可能性いついて断言することはできない。また沖縄の漁師への聞き取り調査によると、ほとんどの漁師の間ではハリセンボン類の卵巣は有毒であると信じられており、食用にはされず、すべて廃棄されている。
●その他: ニュージーランド水域に生息するハリセンボン科の魚は本種スミツキイシガキフグとネズミフグDiodon hystrixの2種類しか観測されていない。ネズミフグの棘は可動性で、スミツキイシガキフグよりもさらに温かい熱帯・亜熱帯域を主に生息している。カーマデック諸島を除く北島と南島で採取されたハリセンボン科の魚は本種である可能性が高い。イシガキフグ属魚種は世界で8種類が知られている。