イスズミ属シルバードラマー Silver
drummer
最大 Max size: 全長
70cm TL
生息層 Depth range: 10m-?m
●形態・特徴: 体の幅が広く重量感がありボテッとしている、尾鰭の縁が黒いことでノトイスズミと見分けることができる。背方は灰色から濃い緑色で腹部は銀色。ときどき灰色や緑色の縦縞が腹部にみられる。すべての鰭は黒色。主に藻類を食べるため口は小さく尖っていない。成魚の尾鰭は角ばり荒波にも負けない力強さを誇る。幼魚は1月〜4月にかけて見ることができる。平均サイズは全長30cm〜60cmで最大60年/70cm/10kgになる。鰓耙数は19〜21で多くが19。ノトイスズミGray drummerより太くて丸い体つきに黒い鰭が特徴でより大きなサイズにまで成長する。
●生息環境: ニュージーランド全土に分布しているが主に北島北部の岩礁帯に沿って生息している。他の魚との競争が少ない波の荒い岩礁帯の白波の立つ場所を好む。海草を好んで捕食し捕食時間は夕暮れ時が多い、警戒心が強く日中は群れで回遊し人が泳ぎ近づくのは難しい。
●釣り: 分布域が広く釣り場にも多く生息するが藻を主食とするためかあまり釣れない。コマセを使った岩礁帯での浮かせ釣りではかかることがよくあり、2008年辺りからアジア人によって釣りの対象魚として雑誌でたびたび紹介されるようになった。荒波に負けない力強いさをもっているため、その引き応えは相当なもので通常の釣り針であれば簡単に曲げて逃げてしまう。
●食味: 味はかなり劣るとされ漁師にも嫌われており、市場には一切出回らない。しかしきちんとした下処理と料理法で問題なく美味しく食べられる。独特の臭みは内臓にあるが身には無い、よって捕獲した場合は内臓の処理をすぐにした方が良い。夏場は特に糞が腐敗し内臓の臭いがキツイため好まれないが冬場は美味しいとされる。身は非常に引き締まっていて例えるならば鶏の胸肉のような感じ。から揚げや煮付け等
火をよく通した料理の場合はパサパサな食感になってしまうの火の通しすぎには注意したい。魚というより肉と考えて料理するといろいろなレパートリーが浮かんでくる。一番向いている簡単な料理はスキヤキ
薄めに切っていただくと美味。
●その他: ニュージーランド水域におけるイスズミ属はこのシルバードラマーの他にノトイスズミGrey drummer 学名Kyphosus bigibbusが生息していることが知られている。鰓耙数は21〜24で多くが22又は23。イスズミ科研究の第一人者で「のと海洋ふれあいセンター」に所属しておられる坂井恵一さんがニュージーランド水域で採取されたノトイスズミの遺伝子サンプルを探している。ニュージーランド水域での生息範囲は狭く温暖なKermadec諸島を除いた本島ではCape ReingaからPoor knightsにかけてのみ生息が確認。しかしながら海流の関係ではLeigh辺りでも発見できる可能性も秘めているためもし捕獲することができたら世界のイスズミ科研究のために役立てて欲しい