マルスズキ Kahawai
最大 Max
size: 全長 89cm TL
生息層 Depth range: 0m-50m
●形態・特徴: 体の上部は緑がかった青で不規則な斑点がある、腹部は白銀色。オーストラリアではオーストラリアンサーモンと呼ばれニュージーランドでも稀にサーモンやシートラウトと呼ばれるがサケ科とはまったく関係がない。平均サイズは全長40cm〜50cmで最大25年90cm近くになる。
●生息環境: 北島を中心に広く生息するが南島の南部にはあまり見られない。通常は50mより浅い陸沿いに生息し汽水域や淡水域にも上がってくる。
●釣り: 海岸沿いに幅広く分布し、アグレッシブなその性格はルアー釣りの対象魚として非常に人気が高い。群れをなして行動していることが多く1匹かかると立て続けに同じサイズがかかる。引きがとても強く海面を激しくジャンプする様は多くの釣りファンを興奮させてやまない。2004年Quota Management Systemと呼ばれる商業ベースでの大量捕獲、輸出が検討されたが多くの釣り人の署名活動Kahawai Challengeによって2006年廃案になる。浅瀬にも大型のものが現れるので投げ釣りの好対象魚、持ち帰りに規定のサイズは無いが近年サイズ規定をつくる事が検討されている。毎年3月頃になるとカタクチイワシやその他のイワシ類の稚魚がオークランド周辺の浅場に多く現れる。この時期は大型のカウアイがそれに伴って浅場に群れで現れるため、特に朝マズメに小型のルアーやスプーンで狙うと良い。
●食味: マルスズキの身は赤身と白身の中間で血抜き等の処理をきちんと行っていないと臭みがあるので一般的に現地のヨーロピアンは釣っても食べない。しかしきちんとした処理を行った身であれば刺身や酢〆、焼き物として美味しくいただける。特に20cm程度の小ぶりなものであれば塩で丸焼きに、大型のものであれば血合いを取り除いた後に塩で締め、その後塩を洗い流して3倍酢につけると美味い。火を通した料理にした場合、食感はパサパサしておりあまり脂がのっていないので揚げ物や鍋にはむかない。1980年代はその多くがペットフードの材料として利用されていたが人口増加の影響によりスモーク等の加工をして人も食べるようになった。
●その他: マルスズキの和名はしばしば問題になる。1990年頃から、日本で海でのルアー釣りをする人がヒラスズキのことを略して「ひら」と呼び、それに対してスズキの方が体形の断面が丸くて体高がないことから「まる」と呼ぶようになった。それが定着しスズキの通称をマルスズキと呼ぶようになる。
一方、本家マルスズキは阿部宗明博士(1911〜1996)の『新顔の魚』で1982年に記載され和名がマルスズキと提唱される。一度、研究者によって和名提唱がされるとよほどのことが無い限り名前が変更することは無い。しかしながら混乱される背景から現地日本人のほとんどはマルスズキと呼ばずカウアイと呼んでいる。